
細川モモのおうちごはんラボ
vol.11『外食が多くなりがちな人の食事』

細川モモ
予防医療コンサルタント社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事/2011~2014 ミス・ユニバース・ジャパンビューティキャンプ講師/農林水産省「地域食文化活性マニュアル推進・検討会」委員/『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)発売中
毎日のうれしい・おいしいを応援!食べることでもっと健康になりたい方必見! のお食事相談。今回は、成長期を迎える幼児の食事についてアドバイスしていきます。

外食でのメニュー選びのこつと自炊時のヒント

■ 女性(20代後半)
■ 職業…会社員
■ 家族構成…一人暮らし
■ 会員歴5年
【食事記録】
フルタイムで働いているので、昼食は外食になることがほとんど。そのぶん朝は、にんにくの芽と豚バラの炒め物やサラダなどごはんとおかずをしっかり食べるようにしています。一人暮らしなのでたくさんの品数を準備することが難しく、レパートリーも多くありません。定番メニューに食材をプラスして栄養バランスを整える方法があれば教えてください。

Advice 1 : 外食で不足しがちなー栄養を自炊でフォロー

■ のがっぱさんの栄養グラフ
のがっぱさんは欠食もなく、全体的に彩り良くお食事されている印象です。普段、外食が多いということでしたので、その場合も考えてアドバイスをしていきますね。
まずは朝食について。外食で不足しがちな野菜やフルーツがしっかり摂れているところは素晴らしいですね。外食は、手作りの食事と比較して塩分が高く、また野菜が不足する傾向があります。そのため、外食の頻度が多く、またその期間が長くなることによって、むくみや冷えを助長してしまう可能性があります。そんな傾向を自炊でメンテナンスする際に必要なのが、余分な塩分を排出してくれるカリウムです。カリウムは、主に野菜や果物、芋類などに含まれます。むくみが気になりだしたり、冷えを感じたりするようになったときには、カリウムを補給して体をメンテナンスしましょう。また、野菜や果物にはビタミンCも豊富に含まれます。ビタミンCは美肌のイメージが強いですが、仕事などで溜まったストレスにも効果を発揮します。ストレスや疲れを感じるときほど、野菜や果物を摂るようにしましょう。もう一つ、外食で注意が必要なのは、脂の摂取です。外食で使用されている肉類は、比較的脂質(特に飽和脂肪酸)を多く含む傾向にあります。これらは赤身と比較してカロリーが高いため、過剰に摂取することで体重・体脂肪を増やすだけでなく、毎月の排卵に障害を生じさせるリスクを高めてしまいます(右図参照)。そのため、自炊するときには、バラ肉や小間切れ肉ではなく、脂肪分の少ないモモ肉やロース肉を選びましょう。
次に昼食についてですが、パスタランチで意識することは、たんぱく質がどれくらい補えるかという点です。というのも、私たちの体のほとんどが、水分とたんぱく質でできています。筋肉・内臓・骨・肌・血液の大部分がたんぱく質で構成されているのです。さらに、たんぱく質とはアミノ酸の集合体のこと。実は人の体を作っているのは、たった20個のアミノ酸です。しかも、このアミノ酸のうち9つは人の体では作り出すことができません。この9つのアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びますが、必須アミノ酸がどれくらい含まれているかをスコア化したものをアミノ酸スコアといいます。説明が長くなってしまいましたが、パスタの原料である小麦は、アミノ酸スコアが37点と低く、私たちの体を支えるには不十分といえます。そのため、パスタランチの際には、ツナや卵、サーモンや魚介など、比較的アミノ酸スコアの高い食品が入ったパスタを選ぶようにしましょう。
夕食については、不足しがちなたんぱく質をサンマと黒豆でチャージできています。また、雑穀米を取り入れている点も良いですね。雑穀米には、白米には不足しがちなマグネシウムやビタミンB1が豊富に含まれ、糖質の代謝をサポートしてくれる他、鉄や食物繊維が豊富に含まれるため、女性に多い貧血や便秘の解消にも一役買ってくれます。1点アドバイスを加えるとすれば、やはり脂質と塩分についてです。カレーのルウ(特に市販品)には塩分が多く含まれ、加えて味噌汁も付けることで、塩分の過剰摂取になります。普段から外食が多い場合は、塩分の摂取には気を付けましょう。たとえば、カレーをトマトシチューにすることで、酸味を利用して塩分を抑えることが可能になります。
Advice 2 : キレイを助ける栄養もプラス
今後、のがっぱさんに取り入れてほしい栄養素は、「良質な脂質」「発酵食品」「貝類」です。まず、「良質な脂質」はアンチエイジングに欠かせない3つのアンチのうちの1つ「抗炎症」の強い味方です。残りの2つ「抗酸化」「抗糖化」については比較的クリアできていたので、残りの1つも取り入れてしまいましょう。良質な脂質のなかでも特に摂取したいのが、オメガ3といわれる魚に多く含まれる油。魚以外にも亜麻仁油に多く含まれるため、ドレッシングなどに取り入れると良いでしょう。ただし、オメガ3はとても酸化しやすいため、抗酸化作用の強いカラフルな野菜と一緒に摂ることがポイントです。
次に、のがっぱさんに不足しがちだった「発酵食品」については、肌の鏡である腸の健康を大きく左右する食品の1つ。納豆やキムチ、カツオ節やヨーグルトなどが身近な食品です。発酵食品を積極的に摂ることで腸内環境が良くなり、免疫機能が高まる他、肌荒れの助っ人にもなります。発酵食品は一度に大量に摂るのではなく、毎日継続的に摂ることがポイント。腸内ビューティーを実践することで、より一層美しくなりましょう。
最後に、「貝類」です。貝類には亜鉛やビタミンB12という栄養素が豊富に含まれていますが、これらは造血に不可欠な栄養素です。造血というと鉄を思い浮かべますが、血は鉄だけでは作られません。亜鉛やビタミンB12が不足しても、貧血を起こしやすくなるのです。現代女性は予備群も含めると3人に1人は貧血傾向であるといわれています。貧血傾向になると、疲れやだるさ、目の下のくすみ、肌色のトーンも落ちてしまうなど、うれしくないトラブルが多発しかねません。のがっぱさんは、野菜や雑穀、肉類から鉄の補給は比較的できている印象ですが、貝類の不足から、特に亜鉛の不足が心配です。貝類は、塩抜きをすれば冷凍保存もできるため、自宅でも使い勝手の良い食材です。味噌汁やパスタなどに加えて、貧血知らずの体を目指しましょう。
■妊娠と脂質の気になる関係
エネルギーと脂質をどれだけ身体に貯めているのかが生殖に影響します。妊娠を維持するだけのエネルギーが足りない女性は排卵しにくくなったり、月経が止まったりします。「身体に良い油」の摂取を心掛け、「減らしたい・避けたい油」を控えるようにしましょう。
※栄養計算・執筆協力 ラブテリ管理栄養士 鶴田麻里子、野中恵梨子
※2015年07月06日掲載