細川モモのおうちごはんラボ

vol.10『PMSを上手に乗り切る食事』

細川モモ
予防医療コンサルタント社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事/2011~2014 ミス・ユニバース・ジャパンビューティキャンプ講師/農林水産省「地域食文化活性マニュアル推進・検討会」委員/『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)発売中
毎日のうれしい・おいしいを応援!食べることでもっと健康になりたい方必見! のお食事相談。今回は、成長期を迎える幼児の食事についてアドバイスしていきます。

PMSの症状をやわらげる栄養素を積極的に摂取して、軽やかな毎日を

■ 女性(20代後半)
■ 家族構成…夫と二人暮らし
■ 会員歴1年
【食事記録】
献立は和食を心がけ、サラダやヒジキ煮など朝からしっかり食べるようにしています。昼食のうどんも、油揚げや白菜などで具だくさんに。体が冷えないよう温かいものを中心に、栄養バランスをとるよう心がけています。生理の2週間~10日前から体がむくみ、気分も憂鬱になるのが悩み。これらのことを食事で改善する方法はありますか?

Advice 1 : あーちゃんさんの食事バランスと体格

■ あーちゃんさんの栄養グラフ

お食事内容から、3食欠食なく召し上がっていることや、野菜も意識されていることなど、栄養バランスに気を付けていることがよく分かります。そのため、全体的な栄養バランスという点では、大きな問題点が見つかりませんでした。一方で、あーちゃんさんの現在の体格を見てみますと、BMI(※)が18.3と「痩せ」であることが分かります。また、比較的消費エネルギーも高いようですので、あーちゃんさんの最善の健康を考えた場合、摂取エネルギーの不足が推測されます。PMSは女性特有の症状ですが、同じように、婦人科の懸念という点ではBMIが19を切っていることも要注意ですので、その点についても一緒に見ていきましょう。
※BMI指数=体重(kg)÷【身長(m)× 身長(m)】
<18.5未満:痩せ 18.5以上25未満:標準 25以上:肥満>

Advice 2 : 下半身の筋肉を鍛えて適正体重に

あーちゃんさんに知っていただきたいことの一つに、適正体重と体脂肪があります。BMIが19未満の痩せ傾向では、不妊や低出生体重児を産むリスクを高め、また、将来の骨粗鬆症の発症リスクを高めてしまいます。さらに、体脂肪も低めの場合は、月経不順や無排卵などのリスクを高めることになるため、妊娠・出産についてもリスクが及ぶことを頭に入れておきましょう。幸い、あーちゃんさんのお食事は、栄養バランスが整っていますので、全体のボリュームをアップさせて摂取カロリーを増やし、体重を今よりも2kg程増量することが望ましいです。筋肉量を増やし、ボディラインは維持しつつ体重をアップできればベスト。特に下肢の筋肉を強化することで、卵巣機能の向上や基礎代謝のアップが期待できますから、階段の昇り降りやウォーキングなどで鍛えることを意識してみてください。

Advice 3 : PMSを防ぐポイントは鉄と亜鉛の摂取

ここからは、具体的なPMSの解消についてお伝えしていきます。あーちゃんさんのお食事は、摂取カロリーはやや不足しているものの、全体の栄養バランスに関しては好ましいと繰り返しお伝えしてまいりました。その上で、PMSの解消を考えた時に、より積極的に摂った方が良い栄養素がニつあります。それは、「鉄分」と「亜鉛」です。というのも、PMSを発症していない女性3,000名を10年にわたり追跡調査した結果、鉄分を1日15mg以上、亜鉛を1日15mg以上摂取していた女性はPMSになるリスクが30~40%低かったということが報告されています。表「女性が1カ月で失う鉄分の量」を見ると、比較的多くの鉄分を摂取しないといけないことが分かります。また、亜鉛もしかりです。さらに、鉄分も亜鉛も、比較的吸収されにくい性質を持っているため、食事から摂取したとしても、吸収されるための工夫が必要になります。そこで、ポイントになってくるのがビタミンCです。鉄分や亜鉛は、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が高まりますから、鉄分や亜鉛が多く含まれる食材にプラスして、ビタミンCが豊富な赤・黄・緑色の食材を取り入れるように心がけてください。

Advice 4 : むくみ解消とメンタルケア

最後に、あーちゃんさんが悩まれている、むくみとメンタルのケアについてお伝えします。そもそも、これらの不調が起きる原因としては、女性ホルモン「プロゲステロン」の影響が大きいと考えられています。そのため、症状があること自体に不安はいりません。ただし、症状がひどくなることで普段の生活に支障が出てしまうことは避けたいですよね。そこで、意識して摂取したい栄養素が「カリウム」と「必須脂肪酸」です。
むくみについては、多くは塩分の過剰摂取が原因ですが、そこにプロゲステロンの特徴である「細胞に水分を取り込もうとする作用」が影響し、よりむくみやすくなってしまいます。ここでポイントになるのが、カリウムです。カリウムには、むくみの原因となる塩分を体外に排出する作用があるため、むくみの緩和が期待できます。あーちゃんさんのお食事は、和食中心で栄養バランスが良い一方、塩分の摂取が過剰になる傾向がありそうです。月経前のむくみやすい時期は、汁物を1日1杯にするなどの工夫をしてみましょう。また、カリウムの豊富な芋、豆、野菜、きのこ類を一層増やすことが、むくみの解消に一役買ってくれます。
次にメンタル不調についてですが、おすすめしたいのが必須脂肪酸であるDHA・EPAが豊富に含まれる魚類です。DHA・EPAの摂取によって、鬱っぽさが改善されるという報告があることに加え、魚自身には、カルシウムも含まれるため、神経の沈静化も期待できます。鮭とアサリのアクアパッツァやきのこたっぷりのホイル焼きなどは、鉄分や亜鉛、カリウムを一緒に摂ることができるのでおすすめです。

※栄養計算・執筆協力 ラブテリ管理栄養士 鶴田麻里子、野中恵梨子
※2015年06月08日掲載

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