
細川モモのおうちごはんラボ
vol.9『目指せ!便秘知らずの元気な腸』

細川モモ
予防医療コンサルタント社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事/2011~2014 ミス・ユニバース・ジャパンビューティキャンプ講師/農林水産省「地域食文化活性マニュアル推進・検討会」委員/『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)発売中
毎日のうれしい・おいしいを応援!食べることでもっと健康になりたい方必見! のお食事相談。今回は、成長期を迎える幼児の食事についてアドバイスしていきます。

腸内環境を健やかに保つための食事のヒント

■ 女性(30代前半)
■ 職業…会社員
■ 家族構成…一人暮らし
■ 会員歴8年
【食事記録】
子どもの頃から便秘がちで、出てもコロコロとした状態のことが多いのが悩みです。食事は、太りやすいので量を控えめにしていますが、甘いものが好きでほぼ毎日食べてしまいます。食事内容に問題があるとは思いますが、どのように改善していったらよいかわかりません。アドバイスをお願いします。

Advice 1 : 便秘の改善は適切な食事量から

■ よしこさんの栄養グラフ
よしこさんこんにちは。便秘についてお悩みのようですね。便秘に関連する腸の健康は、栄養吸収にダイレクトにつながっています。これを機会に、腸のメンテナンスを行い、便秘知らず不調知らずの身体を作っていきましょう。
よしこさんのお食事を拝見し、便秘の原因が複数見当たりました。第一に、食事量の不足が考えられます。よしこさんが召し上がっている朝・昼・夜のお食事では、1日に必要な食事量をまかないきれておらず、特に便のかさを増やす食物繊維(野菜類や未精製の主食、果物、きのこ類などに豊富)の不足が目立ちます。つまり、出すことが問題なのではなく、摂ることに課題があると考えましょう。
例えば、朝食の食パンを未精製の全粒粉パンに替え、トマトに加えてもう1種類、アボカドやブロッコリーなど、野菜を増やしてみることをおすすめします。肉や魚などの主菜が片手手の平一盛分に対し、野菜は両手の平一盛り分が理想。ただし、コロコロ便の人は、摂る食物繊維の種類によって、さらに便秘が悪化する可能性もあることを覚えておいてください。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類ありますが、便に水分を多く含ませて便秘を解消する働きがある水溶性食物繊維に対して、不溶性食物繊維は腸の蠕動(ぜんどう)運動を刺激して排便をスムーズにします。コロコロ便の人は腸の蠕動(ぜんどう)運動が過敏な傾向にあるため、不溶性食物繊維を多く摂ってしまうとさらに腸管を刺激してしまい、より便秘が悪化することがあります。ゆえに、コロコロ便の方に小麦ふすまのシリアルやクッキーは適しません。よしこさんの便秘改善には、適切な量の食事と、こんにゃくを含む海草類、野菜、果物などがおすすめです。
Advice 2 : マグネシウムは快腸の立役者

■ 働くOLの1日の理想献立 出典:Luvtelli Tokyo & NewYork
では、食事量と食物繊維を意識すれば便秘が解消されるかというと、まだ万全ではありません。よしこさんは、コロコロとした便が出るとのことでしたが、それは、便の水分が不足していることが予想されます。これは、食事からのマグネシウム摂取が不足している傾向です。実は、便秘の方に処方されているお薬は、酸化マグネシウムなのです。このマグネシウムには、水分を吸着させる特徴があるため、便の保水力を高め、便をやわらかくすることが期待できます。では、どのような食品に含まれているかといえば、貝類、海藻類、納豆、シラスや桜エビに多く含まれています。どれも、よしこさんの食事にはあまり見当たらないことを考えると、マグネシウムを普段の食事に加えることで、便秘の改善に役立ってくれるでしょう。ワカメやアサリの味噌汁、手軽な納豆を定期的に取り入れるのも◎です。
Advice 3 : 腸内美人のポイントは育菌
これまで、食事量、食物繊維、マグネシウムと説明してきましたが、健康な腸内環境を作る上で外すことのできないのが腸内細菌です。腸内細菌の善玉菌として名高いビフィズス菌は、生まれたばかりの赤ちゃんでこそ腸内の9割を占めますが、1歳になる頃には半減し、成人では10%にまで減ってしまいます。逆に悪玉菌が増え、腸内の老化を促進してしまうのです。そこで、生活のなかでできることとして挙げられるのが、腸内細菌のエサとなる食事を意識するということです。具体的には、発酵食品であるヨーグルト、納豆、味噌、醤油、酢、カツオ節などを毎日1種類は摂取するのがおすすめです。加えて、オリゴ糖も腸内細菌にはうれしい食材。ヨーグルトにかけて食べれば、育菌はさらにパワーアップするでしょう。
Advice 4 : 良質な脂質で肌と腸にダブルの潤いを

■ 食物繊維が摂れるごはん・摂れないごはん
これまで、便秘の解消について複数の側面からアドバイスしてきましたが、最後にお伝えしたいのがオイルケアです。便は、排出されるまで曲がりくねった腸内を移動していきますが、“通りやすさ”も便秘を防ぐポイントになります。この便の通りやすさを左右するのが「油」です。実際にイタリアでは、便秘の解消にオリーブオイルを飲むことが知られているほど。もちろん、動物性の飽和脂肪酸やマーガリンなどに多く含まれるトランス脂肪酸は控えたい油ですが、魚の脂やオリーブオイル、亜麻仁油などの良質な油については、極端に減らすことのないようにしましょう。現に、ダイエット傾向である人ほど、食事量とオイルを減らす傾向があるため、便秘になりやすいといえます。適切な食事量、バランスのとれた食事を実践することこそ、健康な腸内環境作りと便秘改善の近道です。
※栄養計算・執筆協力 ラブテリ管理栄養士 鶴田麻里子、野中恵梨子
※2015年05月11日掲載